図書館総合展フォーラム2014 in 白河参加レポート

2014年3月3日(月)に開催されました図書館総合展2014 in白河では、約200名の方にご来場いただき、盛会のうちに幕を閉じました。ご参加いただけなかった皆さまにも会場の様子や雰囲気を感じていただけるよう、参加者である木川田朱美さん(筑波大学大学院)より参加レポートをお寄せいただきました。

ご執筆いただいた木川田さんに心より御礼申し上げます。

図書館総合展フォーラム2014 in 白河参加レポート

執筆:木川田朱美(筑波大学大学院)

東日本大震災からこの3月11日でちょうど3年になる。災害時の図書館サービスに関する一般的な情報を得たい一方、4月より福島県に引っ越すという個人的な事情もあり、現状をより詳しく把握したいと考え、会場となった白河市立図書館に足を運ぶこととした。福島県の図書館は、この3年間をどのように震災と向き合ってきたのだろうか。それが知りたかった。

南相馬市立中央図書館副館長の早川氏による基調講演では、震災直後からの図書館、自治体運営に関する貴重な体験談を拝聴できた。震災直後の混乱期は、図書館員自身が情報を得ることがすでに難しい状況の中で利用者対応をしてきたこと、そして避難所や社会福祉課に異動になった体験からの市民との交流のこと、図書館の嘱託職員が雇い止め後も無給で再開館に貢献したこと、さらに原発関係資料を含む震災関係資料の収集保存への取り組みのことなどを伺った。最後に引用されていた「図書館は記憶する、愚かさまでも。」という言葉は人間の外部記憶装置としての図書館の使命をとても端的に表している。早川氏の講演からは、軽妙な語り口の中で、想像を絶する災害と市民の感情に真剣に対峙し続けてきた者の、未来を目指す力を痛感させられた。

次に、会場である白河市立図書館の田中館長に代わって新氏、基調講演者の早川氏、福島県立図書館の吉田氏をパネリストに、そしてシャンティ国際ボランティア会の鎌倉氏を司会に迎え、「東日本大震災と福島―震災後の情報提供―」と題されたパネル討論を拝聴した。
それぞれの図書館に関して被害状況と直後の対応を踏まえ、災害時に図書館が必要とした情報、提供した(すべき)情報、保存していく情報という3つの観点から議論を追っていくことにした。
必要な情報として、職員の安否や分館の状況の他に、特に県立図書館では県内図書館に関する情報が挙げられていたことが印象的だった。また、大量の支援情報をいかに混乱なく精査し、振り分けるかという点は、通信網が非常に発達した現在ならではの問題であり、今後の課題として考えたい。提供した情報に関することでは、休館情報や開館情報という最も基本的なところの広報が上手くいかない図書館もあったという。通信網が絶たれたときに、市民へ周知する方法と併せて検討する必要がありそうだ。保存していく情報については、現在の公共図書館の性質上、利用を視野に集める中で行政資料や市報等のミニコミ誌の散逸を防ぐための仕組み作りについて議論されていた。研究を行う側としては、図書館等に保存されているもの、もしくは自分が収集できるものによって研究範囲が定まってしまうことが多いと感じている。しかも何が保存されなかったかについては少し時間が経つだけで検証が難しくなってしまう。そのため、地域資料を網羅的に収集できる仕組み作りに関して考え続けていきたい。

最後のパネル討論では、パネリストに読売新聞東京本社から秋山氏、白河市立図書館の新氏、株式会社ネットアドバンスの田中氏、福島大学附属図書館の門間氏、そして司会にアカデミック・リソース・ガイド株式会社の岡本氏というメンバーで「オンラインデータベースの活用――その課題と可能性」というテーマに関して議論した。 オンラインデータベースを提供する側と利用の仲立ちをする図書館側との議論の中では、必ずしも提供する側の目論見と利用する側の要求がかみ合っているわけではないという現状が浮かび上がってきた。例えば、提供する側はある特定の分野の情報に特化したデータベースを作るが、検索エンジンに慣れた利用者側としては様々な分野に関して一度に統合して検索できる機能を要求してくるということである。しかし、ある程度情報の種類に関して理解してほしいということなどから、統合検索は善し悪しという意見もあった。また、スマートフォンアプリを作れば利用が促進されるのではないかという意見に対し、JapanKnowledgeはタブレットに対応した上で公共図書館にiPadを提供したがほとんど利用がなかったという報告もあった。ただし、この件に関しては、司会の岡本氏が述べていたとおり、評価を定めてしまうのはまだ早いのかもしれない。

休憩時間にはポスター展示と企業展示を巡って歩いた。ポスター展示では、前述の個人的事情もありふくふくネットのポスターを興味深く拝見した。さらに、漫画家である水知氏のポスター「羊図書館」では、マンガ表現によって図書館や法律の擬人化を試みていることがアピールされていた。私はそうした表現が情報の受容を比較的容易にする力があることを実感しており、「羊図書館」と水知氏の今後に期待を寄せている。企業展示では、昨年の横浜での図書館総合展でも話題であったくまモンブックエンドを擁する金剛株式会社や、キハラ株式会社による子どもたちのイラストブックトラックに目を惹かれた。『ライブラリー・リソース・ガイド』各号などの販売も行っており、『走れ!移動図書館』の著者である鎌倉氏からご著書にサインを戴くこともできた。

講演等の終了後、蔵書点検中の白河市立図書館で館内見学を行うことができた。金剛株式会社の方のナビゲーションの下、いくつかの班に分かれて主に施設面の工夫について案内を受けた。今回見学した白河市立図書館は、現在の建物では2011年7月に運用され始めたばかりである。LED照明のふんだんな利用、市内の南湖にあった赤松の倒木の利用、館内にさらに建物が建てられているかたちのお話の小屋など、利用者の居心地の良さの追求と省エネルギー省資源などのバランスが取られていると感じた。近いうち、開館時に訪れたい。

基調講演からレセプションを通して、たくさんの方々とお話しさせていただくことができた。講演やパネル討論を聞きながら、考えたことや感じたことについてすぐに図書館員の方や企業の方らとディスカッションでき、様々な視点の意見を得られた。震災のことを考え、起こったこととして受け入れるのは、いくたび東北に足を運んでも、私にとって苦痛のままであった。そうしている間にも、図書館は様々な困難と向き合い続けていた。
震災と向き合うことについて対話し、記録する、図書館総合展のような機会を戴いたことに深く感謝して、本レポートを締めくくる。



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